距離という時間

先日、
懐かしい町までいった。

用事がなければ、
もう行くこともないような町。

もう会うことのない人々。

人生を通りすぎていって、
二度とは取り戻せない時期。

そんな場所を
新しい知り合いと歩く。

不思議な気持ちがした。


いつかは、
今、共に過ごす人々も、
遠くへ離れていってしまうのだろう。

そう思うと、
今がとても大切に思える。


過ぎ去って、遠くまでくると、
その頃、私を支配していた気持ちや、
幸せも苦しみもすべてが
一色単になっていて、
優しく受け止めることができる
自分を知る。

その頃の私にとって、
頭のなかをめいいっぱいにして、
逃げ出せなかったことが

こんなにも落ち着いて
振り返ったりできるなんて。

時間という距離は
よくも悪くも
すべてから切り離してしまうんだ。


今、つらいことも、
いとおしいことも、
いつかは、
時間という距離に隔てられて、
遠い存在となっていくのか。

今はありありと
揺らぎ、痛み、震える思いでも。

時間という距離は、
待つときは長くて、
振り返ると驚くほど早い。


だから、今、ここにあるものは、
ちゃんと感じようか。
どんなものであっても。
耐え受け止めるように。

あお's HOME ~and blue company~

小説、脚本、広告シナリオ、写真詩を書いています。

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